Clara Whitmore · 更新日 2026年10月7日

メールが届かない・迷惑メールに入るときの確認順

Gmail と Yahoo の送信者要件、SPF・DKIM・DMARC の設定順、迷惑メール率 0.10% の意味、エラーコードごとの切り分けまで、届かない原因の調べ方を順に解説します。

最初に疑うのは、内容ではなく認証と苦情率

パスワード再設定のメールが届かない、メルマガが迷惑メールフォルダに入る、といった問題が起きたとき、本文の言葉選びを直す前に確認したいことが 3 つあります。送信ドメインの認証(SPF、DKIM、DMARC)が通っているか、迷惑メール報告の率が基準を超えていないか、送信量を急に増やしていないか、です。Google と Yahoo は 2024 年に送信者への要件を明文化しており、条件を満たさないメールは、迷惑メール扱いにされたり拒否されたりします。この記事では、その要件を引用しながら、認証の設定順、評判の保ち方、届かないときの切り分けを説明します。

対象は、自社のサービスやメルマガから、Gmail や Yahoo メールの利用者へ送る人です。送信に使うサービス(Resend、Postmark、SendGrid など)によって画面は違いますが、確認する項目は共通しています。料金やサービスの比較は、開発者向けメール API の比較やResend と Postmark の比較を見てください。

Gmail と Yahoo の要件を表で確認する

Google の送信者のガイドラインと、Yahoo の送信者向けベストプラクティスに書かれている内容を、2026 年 10 月 7 日に確認して要約しました。要件は更新されることがあるので、運用前に原文を見直してください。

項目 Gmail(Google) Yahoo
すべての送信者 SPF または DKIM SPF または DKIM。RFC 5321・5322 に準拠し、送信 IP に正引き・逆引きの DNS を設定する
大量送信者 SPF、DKIM、DMARC の 3 つ SPF と DKIM の両方、DMARC は p=none 以上で、認証が通ること
配信停止 1 日 5,000 通を超えるなら、マーケティングや購読メールはワンクリックの配信停止に対応する 大量送信者は List-Unsubscribe ヘッダーで一括の配信停止に対応し、本文にも配信停止リンクを置き、2 日以内に処理する
迷惑メール報告率 Postmaster Tools で 0.10% 未満に保ち、0.30% 以上にしない 0.3% 未満に保つ
DKIM の鍵 個人の Gmail 宛は 1024 ビット以上。2048 ビットを推奨 —
送信 IP の DNS PTR レコード(逆引き)が、同じ IP を指すホスト名に解決される 正引きと逆引きの DNS を設定する
通信の暗号化 メールの送信に TLS 接続を使う(2023 年 12 月に追加) —
メールの形式 — RFC 5321 と RFC 5322 に準拠する

数字の意味を具体的に考えてみます。Gmail 宛に 20,000 通を届けた月に、迷惑メールとして報告された件数が 20 件なら報告率は 0.10% で、ちょうど目安の境目です。0.30% は 60 件にあたります。Google の説明では、報告率が高いと迷惑メールとして扱われやすくなり、回復には時間がかかります。つまり、1 回の失敗配信で大きく崩れるというより、反応の悪い送信を続けて少しずつ悪化することを避ける、という考え方になります。

Gmail 宛の配信数 0.10% の件数 0.30% の件数 読み方
5,000 通 5 件 15 件 数件の報告で目安に届く
20,000 通 20 件 60 件 1 号で 20 件を超えたら見直す
100,000 通 100 件 300 件 件数の増え方を号ごとに記録する
500,000 通 500 件 1,500 件 セグメントごとの報告率を見る

認証の設定順:SPF、DKIM、DMARC

1. SPF:送信を許可するサーバーを宣言する

SPF は、ドメインの DNS に TXT レコードを 1 つ置いて、そのドメインのメールを送ってよいサーバーを列挙する仕組みです。Google は、第三者の送信サービスを SPF に含めていないと迷惑メールにされやすいと説明しています。よくある失敗は、サービスごとに SPF レコードを別々に作ってしまうことです。SPF レコードはドメインにつき 1 つだけで、複数のサービスを使うなら、それぞれの include を 1 つのレコードにまとめます。送信サービスの管理画面に表示される値を、そのまま追記してください。

もう 1 つの落とし穴は、DNS の参照回数の上限です。SPF の仕様(RFC 7208)は、1 回の判定で DNS を引く回数を 10 回までと定めています。include を重ねる送信サービスを増やすと、この上限を超えて SPF が失敗することがあります。サービスを替えたあとは、古い include を残さず整理してください。

2. DKIM:メールに署名をつける

DKIM は、送信側が秘密鍵で署名し、受信側が DNS の公開鍵で検証する仕組みです。多くの送信サービスでは、管理画面に表示される CNAME または TXT レコードを DNS に追加すると有効になります。Google は、個人の Gmail 宛には 1024 ビット以上の鍵を求め、可能なら 2048 ビットを勧めています。DNS 事業者によっては鍵の長さに上限があるので、設定後に送信サービスの認証状況を必ず確認してください。

3. DMARC:失敗したメールの扱いを指定する

DMARC は、SPF と DKIM のどちらにも通らなかったメールを、受信側がどう扱うかを宣言します。認証に使うドメインが、メールの From に表示されるドメインと一致している必要があります(アライメント)。最初は、監視だけの p=none から始めるのが一般的です。レコードは v=DMARC1; p=none; rua=mailto:(レポートを受け取るアドレス) の形で、rua に指定したアドレスへ集計レポートが届きます。レポートで、自社が送っているすべてのメールが認証に通っていることを確認してから、quarantine、さらに reject へ段階的に強めます。いきなり reject にすると、見落としていた送信元(問い合わせフォームや請求システムなど)のメールが届かなくなる恐れがあります。

段階 DMARC のポリシー 期間の目安 確認すること
1 p=none 2 〜 4 週間 レポートに想定外の送信元がないか
2 p=quarantine 2 〜 4 週間 正規のメールが迷惑メールに回っていないか
3 p=reject 継続 新しい送信元を追加するたびに認証を確認する

期間は筆者の目安で、規則ではありません。自社が使っている送信元の数と、レポートの内容に合わせて決めてください。

設定の確認表

設定 置く場所 確認の方法 通っていないときの症状
SPF ドメインの TXT レコード(1 つだけ) メールのヘッダーで spf=pass を確認 迷惑メール扱い、認証失敗の警告
DKIM 送信サービスが示す CNAME または TXT ヘッダーで dkim=pass を確認 Gmail で 5.7.26 などの拒否
DMARC _dmarc のサブドメインの TXT ヘッダーで dmarc=pass、集計レポートを確認 なりすましと誤判定、届かない
PTR(逆引き) 自前の送信サーバーの IP Google Admin Toolbox の Dig で確認 Gmail や Yahoo で拒否される
List-Unsubscribe メールのヘッダー 送信サービスの設定とテスト送信で確認 大量送信者の要件を満たせない

メールのヘッダーで認証結果を読む

設定が正しいかどうかは、実際に送ったメールのヘッダーで確かめるのがいちばん確実です。Gmail なら、受信したメールの「元のメッセージを表示」で、SPF、DKIM、DMARC の結果が表示されます。他のメールソフトでも、ヘッダーの Authentication-Results の行に、同じ内容が書かれます。

ヘッダーの表記 意味 pass 以外のときの対処
spf=pass 送信元の IP が、SPF で許可されている 送信サービスの include が SPF に入っているか、レコードが 1 つだけか確認する
dkim=pass 署名が検証できた DKIM の CNAME または TXT が DNS に反映されているか確認する
dmarc=pass SPF か DKIM が通り、ドメインが From と一致している 署名に使うドメインと、From のドメインを合わせる
spf=softfail / fail 許可されていない送信元から送られた 新しく使い始めた送信サービスを SPF に追加する
dkim=none 署名がついていない 送信サービスの管理画面で、ドメインの認証を完了する

送信ドメインの分け方

用途ごとに送信用のサブドメインを分けておくと、1 つの用途で評判が悪化しても、ほかの用途への影響を抑えられます。次の名前は設計の例で、実際のドメインは自社のものに置き換えてください。

用途 サブドメインの例 送るメール 分ける理由
取引 notify.(自社ドメイン) パスワード再設定、注文確認、請求通知 止められないメールを、マーケティングの苦情から守る
メルマガ news.(自社ドメイン) 定期の配信、キャンペーンの告知 反応が落ちても、取引メールに波及させない
社員の日常のメール 自社ドメインそのもの 営業や問い合わせへの返信 大量送信の評判と、個別のやり取りを分ける

評判を保つ:送る相手と量の増やし方

Google は、メーリングリストやメルマガでは、メールを望んだ人にだけ送ることを求めています。具体的には、受信者が自分でオプトインしたことを確認すること、購読前にメールアドレスを確認すること、定期的に購読の継続意思を確かめること、メールを開かない人は購読解除を検討することです。反応がない人への送信は、迷惑メール報告の元になります。

送信量の増やし方についても、Google は具体的に書いています。大量に送るなら、一定のペースで送り、バーストを避けること。新しいドメインや形式では、反応のよい人に少量から始めて、少しずつ増やすこと。送信量を直前の倍にするような急な増加は、制限や評判の低下を招き得ること。バウンスや一時拒否が出たら、エラーが減るまで量を落とし、そこから再び少しずつ増やすことです。以下は、これを日本語の運用に落とし込んだ筆者の例で、各社の要件ではありません。

日 送る相手 通数の例 見るもの
1〜3 日目 直近 30 日に反応のあった読者 500 通 バウンス、迷惑メール報告、Postmaster Tools
4〜7 日目 同じ読者層を広げる 1,000 通 一時拒否のエラー(4xx)が出ていないか
2 週目 購読直後の読者を加える 2,000〜3,000 通 配信停止の割合、返信
3 週目以降 全体へ 前週の 1.5 倍以内 エラーが出たら量を落として再開

通数は例です。自分の通常の配信量と、その送信ドメインにすでに履歴があるかで変わります。新しいドメインで、いきなり数万通を送る計画は避けてください。

リストの取得元ごとのリスク

迷惑メール報告やバウンスの多くは、リストの取得元で決まります。取得元ごとの傾向と、確認したい点を整理しました。

取得元 起きやすい問題 対応
自社サイトの登録フォーム 入力ミスの誤ったアドレス 確認メールで本人確認をする
セミナー・イベントの参加者 数か月後に存在を忘れられ、苦情が出る 参加直後にウェルカムメールを送る
名刺交換や紹介で得たアドレス 同意の有無があいまい 広告・宣伝を送る前に、ガイドラインで同意の扱いを確認する
数年前の古いリスト 存在しないアドレスやスパムトラップが混ざる 少量で試し、バウンスが多いものは外す
購入したリスト 同意がなく、苦情とバウンスが急増する 使わない。Google は望んだ人にだけ送ることを求めている

専用 IP は必要か:各社の条件と費用

Google の説明にあるとおり、共有 IP は同じ IP を使う全員の送信が評判に影響します。ほかの送信者の行動に評判を左右されたくない場合の選択肢が、専用 IP です。ただし、専用 IP は少ない通数だと評判が育ちにくく、各社も提供の条件を決めています。2026 年 10 月 7 日に各社の料金ページで確認した条件は、次のとおりです。

サービス 専用 IP の費用 提供の条件
Resend 月 $30(アドオン) Scale プランで、1 日 3,000 通を超える顧客向け
Postmark 1 つにつき月 $50 から 月 300,000 通以上、Pro 以上のプラン
SendGrid Pro 以上に 1 つ含まれる 追加も購入できる
Mailgun 追加の IP は 1 つにつき月 $59 管理画面から追加する
Amazon SES 標準の専用 IP は 1 つにつき月 $24.95 通数に応じた別の方式もある
SparkPost 1 つにつき月 $24.95 Growth プランのみ、最大 5 つ

目安として、月に数万通までなら共有 IP のまま、認証と苦情率の管理に力を入れるほうが効果的です。Postmark が専用 IP を月 300,000 通以上の顧客に限っていることからも、専用 IP は一定以上の安定した送信量が前提だとわかります。専用 IP を新しく使い始める場合は、前節のウォームアップの考え方で、少量から増やしてください。

バウンスの種類と対応

バウンス(配信できなかったメール)は、SMTP のエラーコードの先頭の数字で大きく 2 つに分かれます。4 で始まるものは一時的な失敗、5 で始まるものは恒久的な失敗です。

種類 コードの例 主な原因 対応
恒久的(ハードバウンス) 5.1.1 宛先のアドレスが存在しない すぐにリストから外す
恒久的(認証) 5.7.26 Gmail で認証されていないメール(Google の説明) SPF・DKIM・DMARC を確認する
一時的(ソフトバウンス) 4.2.2 など 受信箱の容量超過、受信側の一時的な不調 数回の再試行で解消するか見る。続くなら外す
一時的(送信量) 4.7.28 Gmail の送信量の上限を超えた(Google の説明) 10 分以上止め、少しずつ再開する

取引メールとマーケティングメールを分ける

注文確認やパスワード再設定のメールと、キャンペーンの告知やメルマガは、同じドメインから、同じ送信ストリームで送ると互いの評判が影響し合います。メルマガへの苦情が増えると、請求書のように止められないメールの到達率まで落ちる恐れがあります。送信ドメインやサブドメインを分けるか、送信サービスのストリーム機能で分離するのが基本です。仕組みの詳細は、英語の取引メールとマーケティングメールの違いを扱った記事を参照してください。

日本向けの配信では、法令上の区別も関係します。総務省の迷惑メール対策のページは、広告・宣伝メールを送る場合は原則として特定電子メール法の規制対象になると説明し、事業者向けに「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」を案内しています。広告・宣伝に当たるかどうかの個別の判断は、このページではできません。判断に迷う場合は、ガイドラインを読むか、専門家に確認してください。

送信サービスを切り替えるときの手順

評判が落ちる原因の上位に、サービスの切り替え時の失敗があります。次の順序で、旧サービスと並行して進めてください。

  1. 新しいサービスで送信ドメインの認証(SPF・DKIM)を設定し、旧サービスの include は残したままにします。
  2. テストメールを Gmail と Yahoo に送り、ヘッダーで spf=pass と dkim=pass を確認します。
  3. 反応のあった読者の 10% ほどに、新しいサービスから送ります。
  4. バウンスと迷惑メール報告に問題がなければ、割合を 30%、60%、100% と増やします。
  5. 全員の切り替えが済んだら、旧サービスの include を SPF から外します。
  6. DMARC のレポートで、旧サービスからの送信が止まったことを確認します。

割合は筆者の例です。送信量を直前の倍にするような急な増やし方は避けるという Google の説明に沿って、段階を細かくしてください。

届かないときの切り分け手順

  1. エラーコードを読む。Google の説明では、認証されていないメールは「5.7.26」のエラーで拒否されることがあり、送信量の上限を超えると「4.7.28」で拒否されます。後者は、少なくとも 10 分は送信を止め、原因を調べてから、1 つの接続から再開して、接続数を 1 つずつ増やす手順が示されています。
  2. 認証の状態を確認する。送信サービスの管理画面で、SPF と DKIM が有効になっているかを見ます。Gmail の宛先に、実際にテストメールを送り、メールのヘッダーで認証結果(pass か fail か)を確認します。
  3. Postmaster Tools で、ドメインの評判と迷惑メール率を見る。Google の Postmaster Tools に自社ドメインを登録し、迷惑メール率が 0.10% を超えていないかを確認します。
  4. 最近の変更を洗い出す。送信サービスの切り替え、送信ドメインの変更、リストの追加、配信頻度の急な変更が、評判の低下の引き金になっていないか調べます。
  5. リストを見直す。バウンスしたアドレスを止め、長く反応のない読者への送信を絞ります。
症状 まず疑うこと 確認する場所
Gmail 宛だけ届かない 認証の失敗、迷惑メール率 ヘッダーの認証結果、Postmaster Tools
配信直後に大量のバウンス 古いリスト、アドレスの入力ミス バウンスのコードと、リストの取得元
ある日から急に迷惑メールに入る 送信量の急増、苦情の増加 直近の配信数と迷惑メール率
自分宛てには届くが読者に届かない 読者側の受信設定、携帯キャリアのフィルター 読者の実機での受信テスト
サービスを替えてから落ちた SPF の参照回数の超過、古い include SPF レコードの全体

携帯キャリアのアドレスへ送る機会が多い場合は、本番の配信前に実際の端末で受信テストをしてください。キャリア側の受信設定は利用者ごとに違い、サーバー側のログだけでは判断できないことがあります。これは運用上の助言で、各社の公式の仕様の説明ではありません。

送信前のチェックリスト

  1. SPF、DKIM、DMARC がすべて通っていますか?
  2. 送信ドメインは、取引メールとマーケティングメールで分けていますか?
  3. 宛先は、自分でオプトインした人だけですか?
  4. ワンクリックの配信停止に対応していますか?
  5. バウンスしたアドレスは、リストから外していますか?
  6. 前回の配信より、通数を急に増やしていませんか?
  7. Postmaster Tools で、迷惑メール率を確認しましたか?
  8. テストメールを Gmail と Yahoo に送り、ヘッダーを確認しましたか?

Postmaster Tools を使い始める手順

  1. Google アカウントで Postmaster Tools を開き、自社の送信ドメインを追加します。
  2. 表示される TXT レコードを DNS に追加して、ドメインの所有を確認します。
  3. 確認が済んだら、データが表示されるまで待ちます。Gmail 宛の送信が少ないと、グラフが空のままのことがあります。
  4. 迷惑メール率が 0.10% を超えていないか、毎週確認します。
  5. 0.30% に近づいたら、直近の配信のセグメントと内容を見直し、送信量を落とします。

確認の頻度:毎回、毎週、毎月

頻度 確認すること 使う画面
配信ごと バウンス数、配信停止数、迷惑メール報告の件数 送信サービスの管理画面
毎週 Gmail 宛の迷惑メール率、ドメインの評判 Postmaster Tools
毎月 DMARC の集計レポートに想定外の送信元がないか レポートの受信アドレス
3 か月ごと SPF の include の整理、DKIM の鍵の長さ DNS の管理画面
要件の更新時 Google と Yahoo の送信者要件の原文 各社のヘルプページ

用語メモ

用語 意味
アライメント 認証に使ったドメインと、メールの From のドメインが一致していること
PTR(逆引き) IP アドレスからホスト名を引く DNS の設定
Postmaster Tools Gmail 宛の送信の評判や迷惑メール率を確認できる Google の無料ツール
共有 IP 複数の送信者が同じ IP アドレスを使い、評判を分け合う形
バウンス 配信できずに送信者へ戻ってきたメール

開封率だけで評価しない

Apple のメールアプリの Mail Privacy Protection は、有効にすると送信者から IP アドレスが隠され、リモートコンテンツがメールを受け取った時点でバックグラウンドで読み込まれます(読んだ時点ではありません)。Apple のヘルプにそう書かれています。そのため、開封をトラッキング画像で数えている場合、Apple Mail の利用者の開封は実際より多く記録され得ます。到達率の判断には、開封率だけでなく、バウンス率、迷惑メール報告率、クリックや返信、有料転換といった別の指標も組み合わせてください。

たとえば、8,000 通が配信されて、リンクをクリックした人が 400 人なら、配信数に対するクリックの割合は 5% です。開封率が急に落ちても、クリックや返信が変わらないなら、到達の問題ではなく、開封の計測のほうに原因がある可能性があります。配信全体を見直す前に、まずこうした指標を並べて比べるのが近道です。メルマガの運営全般の考え方は、ニュースレター運営の実践ガイドにまとめています。

よくある質問

SPF・DKIM・DMARC は、どれから設定すればよいですか?

SPF と DKIM を先に設定し、メールのヘッダーで両方が通ることを確認してから、DMARC を p=none で公開します。レポートで想定外の送信元が出ないことを確かめたあとに、quarantine、reject の順に強めてください。

Gmail 宛だけ届かないのは、なぜですか?

Gmail は認証の要件と迷惑メール率を厳しく見ています。5.7.26 のエラーなら認証の失敗、4.7.28 なら送信量の超過が疑われます。Postmaster Tools で、ドメインの評判と迷惑メール率を確認してください。

迷惑メール報告率の目安はいくつですか?

Google は Postmaster Tools で 0.10% 未満に保ち、0.30% 以上にしないよう求めています。Yahoo は 0.3% 未満です。Gmail 宛に 20,000 通を届けたなら、0.10% は 20 件、0.30% は 60 件です。

送信サービスを替えるとき、評判は引き継げますか?

送信ドメインを変えなければ、ドメインにひもづく評判は残ります。一方、共有 IP は他の送信者と評判を分け合う仕組みで(Google の説明)、サービスを替えると使う IP も変わります。旧サービスを併用しながら少量ずつ移し、エラーが出たら量を落として再開してください。

SPF レコードを 2 つ作ってしまいました。どうすればよいですか?

1 つにまとめてください。SPF レコードはドメインにつき 1 つだけで、複数あると判定が失敗します。各サービスが示す include を 1 つのレコードに並べ、参照回数が 10 回を超えないように、使っていないサービスの include は削除します。

バウンスしたアドレスは、何回まで再送してよいですか?

恒久的な失敗(5.1.1 など)は、再送せずにすぐリストから外します。一時的な失敗(4 で始まるコード)は、送信サービスが自動で数回再試行するのが一般的です。何回再試行するかは各サービスで違うので、管理画面の設定を確認してください。

Postmaster Tools にデータが表示されないのは、なぜですか?

Gmail 宛の送信が少ないと、グラフが空のままになることがあります。ドメインの所有の確認が済んでいるか、送信に使っているドメインを登録しているかも確かめてください。数日たってもデータが出ないなら、送信量が足りない可能性があります。

DKIM の鍵を 1024 ビットから 2048 ビットに変えるべきですか?

Google は、個人の Gmail 宛には 1024 ビット以上の鍵を求め、DNS 事業者が対応していれば 2048 ビットを勧めています。変更する場合は、新しい鍵を DNS に追加して、送信サービスの認証が通ることを確かめてから、古い鍵を削除してください。

購入したメールアドレスのリストに、送ってもよいですか?

おすすめしません。Google は、メールを望んだ人にだけ送ることを求めています。購入したリストは、同意がなく、迷惑メール報告とバウンスが急に増えて、送信ドメインの評判を傷つけます。広告・宣伝のメールは、特定電子メール法の対象になる点も確認してください。

専用 IP を契約すれば、届きやすくなりますか?

自動的にはなりません。専用 IP は、自分の送信だけで評判が決まる代わりに、評判を自分で育てる必要があります。月数万通までなら、まず認証と苦情率の管理を優先してください。Postmark は専用 IP を月 300,000 通以上の顧客向けとしています。

メールのヘッダーは、どこで見られますか?

Gmail では、受信したメールの右上のメニューから「元のメッセージを表示」を選ぶと、SPF、DKIM、DMARC の結果が表示されます。他のメールソフトでは、メッセージのソースやヘッダーの表示から、Authentication-Results の行を探してください。

DMARC を p=none のままにしておいてもよいですか?

Yahoo は大量送信者に、少なくとも p=none の DMARC ポリシーを求めています。ただし p=none は監視だけで、なりすましを止める効果はありません。レポートで問題がないことを確認できたら、quarantine や reject への移行を検討してください。

配信停止のリンクだけでは足りませんか?

Google は 1 日 5,000 通を超える送信者のマーケティングや購読メールに、ワンクリックの配信停止への対応を求めています。Yahoo も大量送信者に、List-Unsubscribe ヘッダーと本文のリンクの両方を求めています。本文のリンクに加えて、ヘッダーの設定を送信サービスで確認してください。